じゃじゃ馬馴らし



 だーっ! ちくしょう! なんでこうなるんだ!

 失礼。なんだか取り乱しておりますが、これは二日ほど前のわたくしでございまして、このエッセイを書いているいま現在は、落ち着いてカフェラテなんぞを飲んでおります。

 さて。いったい、なにがこの身に降りかかったのかお話せねばなりますまい。聞きたくなくても聞かせちゃう(笑)。

 ことの発端は「自作パソコン」ですよ。詳細は前回の「おニューのパソコン」を読んでいただくとして、とにかくわたしはパソコンを組み立ててみました。ところが、OSやアプリケーションのインストール作業がイヤで、いままで使っていたWindows98が入った、ハードディスクを、そのままつなげるという、暴挙をやってのけたのです。そのあと悲劇が訪れるとも知らずに。こういうのなんて言うんでしょうね。知らぬが仏? 素人の浅はかさ? どっちも当たってるな(苦笑)。

 動きましたよ。Windows98。ええ、正常に動きましたとも。音が鳴ったり鳴らなかったりとか、ファイルのダブルクリックでアプリケーションが起動しなくなったりとか、ささいな問題をのぞけばね。

 ちっとも、正常じゃねえじゃんか!

 あー、ダメだ。やっぱり、ちゃんと動かないよ。このままボロボロ壊れていくんだ。怖いよお。パソコン動かなくなったら困るよお。

 という、危機感を持ったわたくしは、OSを入れ直すことにしました。満員電車で、ポマード塗りまくったオヤジと密着するのと同じくらいに大嫌いな、OSのインストール作業をです。

 しかーし! 今度のわたしは、いままでとちょっと違う。中古の部品を使ったとはいえ、わが自作パソコンは、スペック的には十分、最新のOSを動かすパワーがあるはずです。いや、イマイチ自信がないですが、たぶんあるでしょう。あると言ってくれ。そうですとも! 新しい革袋には、新しいお酒を入れなければなりません! さあ、WindowsXPを買いに行こう。

 はい、買ってきました。

 ここでWindowsXPのインストールにまつわる、涙なくして語れない物語を、最初からくどくど書いてもいいのですが、つまんない話なので割愛しましょう。データのバックアップをとるのに、メインのハードディスクとサブのハードディスク、さらに予備のハードディスクを、取っかえ引っかえ、取り付けたり取り外したりしているうちに、ボードの角で指を切ったなんてことを話しても……話してるじゃんか(苦笑)。

 とにかく、WindowsXPが、正常にインストールできました!

 じつは……WindowsXPを入れるにあたり、一つ心配事があったのです。それはビデオカードがちゃんと動くかどうか。ちなみに、グラフィックカードともいいますな。古い人なら、グラフィックアクセラレーターと言うかもしれない。

 ぼくのビデオカードは、以前に使っていた古いパソコンから引っこ抜いてつけたものなので、WindowsXPが、ちゃんと認識してくれるか心配だったんです。だって、もう四年以上前のカードなんだもん。

 結果としては、きちんと認識してくれて、なんの問題もなく動きました。WindowsXPってすごいなあと思いましたね。インターネットにADSLでつなげるためのLANカードも、古いパソコンから引っこ抜いてつけたんですが、こちらも、なーんの問題もなし。WindowsXPのインストールが終わって、起動した瞬間からインターネットにつなげることができました。ぼくは、なんの設定もしていない。ホントに、まったく、なにもしてないんですよ。

 まあ、そりゃそうと……WindowsXPですが、このデフォルトのデザインは、どんなもんでしょうね。ちょっと派手すぎやしませんか? 好みは人それぞれなので、なんともいえませんが、ぼくはおもちゃ屋のトイザラスにでも入り込んだ気分ですよ。というわけで、これはクラシック(いままでのWindowsと同じデザイン)にしちゃいましょう。べつに、いままでのWindowsのデザインが好きと言うわけではないのだけど。

 さあ、これで一安心。まずはメーラーを入れなきゃ。あ、ぼくはWindowsに最初から入っている、アウトルックとかいうヤツは使っていないのです。Becky! Internet Mailというのを使ってます。シンプルで好きなんですよ、このメーラー。メールのデータが入っているフォルダをまるごとコピーしておいて、Becky!をインストールした後に、そのフォルダを指定してやるだけで、以前のメールデータはもちろん、サーバーに接続するための設定(パスワードとか、いろいろ)が、一瞬にして復活するところも気に入ってます。人生、楽に生きるのが一番です。日々楽々ですな。(ね、鹿の子さん)

 ところが。楽あれば苦ありというのが、人生におけるグローバルスタンダードでございます。古今東西、楽ばっかりの人生はない。なかなか日々楽々とはいかないもんです。

 一番憂鬱なのが、超大物ソフトで、しかも、いまやなくてはならない、マイクロソフトのOffice。こいつを入れなきゃいけない。カメラマンも必要なんですよ。企画書とか、取材先の資料とか、最近はWordファイルで送られてくるし、請求書や見積書とか作るにはExcelが必要。

 でもねえ、Officeのインストールって嫌いなんだよな、大嫌いだ。だって、すごく時間がかかるんだもん。さらに、インストールが終わったあと、インターネット上で、アップデートしなきゃいけない。これがまた時間がかかる。やだやだ。ADSLじゃなかったら、ぜったいにやらないね。

 あ、そうそう。アップデートと言えば、WindowsXP自体のアップデートも忘れてはいけません。Windows updateに行って、「重要な更新」を入れましょう。ぼくのXPは、すでにSP1が適用されたバージョンですが、それでも、けっこう入れなきゃいけないファイルがありました。うろ覚えですが、合計のファイルサイズは、20MB以上あったな。

 そのほか、Windows Media Playerも新しいバージョンになっていましたが、この辺は重要ではないので、あとからやることにします。

 さて、ウイルス対策ソフトも入れなきゃ。

 そして、今度は一太郎を入れます。Wordを持ってるのに、なんで一太郎を使うの? と疑問を持ったあなたは、拙作のエッセイ「一太郎もやるじゃんか」をお読みくださいませ。

 ここまでインストールがすんだら、ぼくがもっとも愛用しているだろうソフトのインストールをします。その名は、Japanist。日本語変換ですね。小説を書くのはもちろん、メールも掲示板への書き込みも、これがなければできない。ところで、なんでこのタイミングかと言うと、Windowsの標準はMS-IME(IME2000)でしょ。で、一太郎を入れると、それがATOKに変わる。その上でJapanistを入れれば、最終的にデフォルトの日本語変換が、Japanistになるって寸法です。まあ、使用する日本語変換ソフトは、いつでも変更できるんだけど、なんとなくこの順番でインストールするのが、一番楽かなと。

 そうだ。これは報告しておかねば。今回のインストールでは、Japanistの設定ファイルを読み込んだら、キー定義もちゃんと反映されました。そうだよねえ。できなきゃおかしいよね。やっぱり、以前のインストールでは、ぼくのWindows98の環境がおかしかったのでしょう。なんの話かわからない人は、またまた、拙作のエッセイ「Japanistおまえもか」を参照してください。って、さっきから参照が多いね。これも歴史の積み重ねと言うのだろうか? 人に歴史ありだな。なんて言うと、年取った気分だけど(苦笑)。

 また話がそれて申し訳ないですが、DOS/V magazineという雑誌のサイトに、Japanistのレビューが載ってました。それによると、「手もとにあるIME2000やATOK15と比較してみたが,文節区切りの誤りはこれらの製品より明らかに多い。それに対して同音語選択の誤りはIME2000よりかなり少なく,ATOK15にほぼ匹敵する」んだそうです。さすがコンピュータ雑誌のライターですね。書き方がクールだ。ぼくのエッセイとは比べ物にならない(苦笑)。確かに文節の区切りには弱いな。でも、文節の区切りって学習されていくから、使い込んでいくうちに、この問題はそれなりに解決します。それなりにね。

 話を戻そう。

 完ぺきにはほど遠いけれど、なんとか使える状態にはなった。そこでいよいよ、Japanistのつぎにお世話になっているソフトを入れます。PhotoShopという、ぼくが持っているソフトの中で、もっとも高価なソフト。八万円ぐらいするんですよ。ご存じのとおり、ぼくの本職はカメラマンです。プロなのです。だから、どんなに高価でも、PhotoShopは必須なんです。アドビ(PhotoShop作ってる会社)もいい商売してるよなァ。バージョンアップだって二万五千円だもんな。人の足元見てるよなァ。ぶつぶつ……

 なんて、ぶつぶつ言いながら、インストールしていますが、PhotoShopこそが、悲劇の始まりだったのです。

 そんなこととはつゆ知らず、快調にインストール作業が終了し、PhotoShopがちゃんと起動することも確認しました。そのあと、エディタとか、こまごまとインストール作業を続けていきました。もう夜中の三時過ぎです。そろそろ寝なきゃ。念のために、一度Windowsを再起動させて、きちんと動くかどうかを確認しましょう。

 WindowsXPをお使いの方はご存じだと思うのですが、WindowsXPって、終了オプションをクリックすると、「スタンパイ」「電源を切る」「再起動」という、三つの選択肢が選べるダイアログボックスが表示されます。このダイアログボックスが表示されると、デスクトップが、徐々に、モノクロに変わっていくのです。フェードアウトって言うんですかね、こういうのも。

 では「再起動」を選びましょう。ぽちっ。

 WindowsXPは、それまでのWindowsにくらべて、重たいOSのはずなんですが、起動が早いですよね。テクノロジーは進歩してるよな。

 ところが。ここで信じられないことが起こりました。起動したWindowsが、モノクロなのです。そう。終了オプションを出したときにモノクロになった、あの画面。それが、最初から表示されている。

 あれ〜? なにこれ?

 いやな予感です。冷や汗がたら〜っと、ほほを伝う感じ。ぼくは、ふたたび終了オプションを選んで、今度は「電源を切る」を選びました。再起動では直らなくても、最初から電源を入れ直すと直る現象もあるからです(Windows98では)。でもなあ、画面がモノクロになるなんて、初めての経験だ。電源が落ちたパソコンの電源を、ふたたび入れます。

 起動中……

 ドキドキ。直らなかったらどうしよう……いやだなあ。なんでパソコンって、こう、つぎからつぎへと、いろんなことが起こるんだろう。

 起動しました! 画面は……モノクロです。

 へえ。白黒テレビか。懐かしいなあ。って、ぼくだって、白黒テレビなんて記憶にないよ! 人を年寄り扱いするんじゃない! だれに文句を言ってるんだぼくは。いやしかし、白黒のWindowsも、こうしてみると、なかなか味わいが……あるわけないだろ!

 わーっ、困った、困った。どーしよう。もう、夜中の三時ですよ。翌日も、いや、すでに当日ですが、お仕事です。しかもデジカメで撮影して、レタッチとかして、納品しなきゃいけない撮影です。モノクロでレタッチするか。できるわけないよな。なんとかしなきゃ。でも、どうする?

 混乱しております(笑)。でも、マジでこんな感じだった。あたふたです。仕事が迫っていなければ、それほどあわてなかったと思うのですが。

 とにかく。いままでインストールしたアプリケーションのことを思い出してみました。再起動をかける直前にインストールしたのは、RealOne Playerです。これが悪いのかもしれない。そう思って、RealOne Playerを起動してみました。起動はする。ところが、それで動画ファイルを再生させてみたら、音は出るけど、絵が出ない。

 はは〜ん、これだな。素人の浅はかさで、そういう勝手な見当をつけたぼくは、とにもかくにも、RealOne Playerをアンインストールしました。そして、再び再起動。

 モノクロのまま。

 おっかしいなあ! RealOne Playerのヤツ、なにかシステムファイルを書き換えやがったのか? だったら、前のバージョンのRealPlayerを入れたら直るかな?

 素人の迷走は続きます。RealPlayer8という、前のバージョンをインストールしてみました。といっても、そんなもの残してはいないので、NetscapeのVer.4.78を入れます。こいつを入れると、自動的にRealPlayer8 Basicってのが入っちゃうのです。

 Netscapeを入れて、起動することを確認して、再び再起動。

 ダメです。直りません。でも、RealPlayer8では、動画が再生できます。なんで? グラフィックカードの設定とか、コントロールパネルのシステムとか、とにかく、関係ありそうなところを、しらみ潰しに見ていきます。でも、わからない。なにが、どこが、どうして、悪いのか……

 この時点で、すでに朝の六時になっていました。もうダメ。頭が回転しません。ここのところ、仕事がやや忙しく、昨日も徹夜だったのです。その合間に、パソコンのセットアップもやっているから、ただでさえ短い睡眠時間が、限りなくゼロに近づいております。三時間でもいいから寝ておかないと、仕事で、大失敗をしでかしそうです。

 ぼくは、モノクロの画面を見ながら、終了オプションを押しました。もともとモノクロだから、徐々にモノクロに変わっていくところは見れません。悲しい……

 お休みなさい。

 翌日。いちるの望みをかけて、パソコンを起動してみました。もしかしたら、パソコンもちょっとお休みして、機嫌を直してくれているかもしれないじゃないですか。いや、そんなことはないんですけど。というか、もしそうだったら、それはそれで、大問題ですが。

 やはりダメです。くそーっ!

 ぼくは、電話に手を伸ばしました。マイクロソフトのサポートセンターにではありません。カメラマン仲間の友人に電話をかけたのです。

「ああ、TERUだけど」
「どうした、朝っぱらから」
「すまん。おまえ、今日、夕方から時間ある?」
「あるよ」
「よかった。悪いんだけど、おまえのパソコン使わせてくれない?」
「いいけど……なんで?」
「詳しくは、会って話すよ。四時ごろには仕事が終わるから、それからそっちに向かう」
「仕事はどこなんだ?」
「渋谷だ」
「だったら、来る途中、CD-R買ってきてくれない?」
「いいよ。じゃあな」

 ぼくは電話を切った。ふう……撮影した写真のレタッチと、納品データをCD-Rに焼く作業は、これでなんとかなりそうだ。なにせ、納品が明日だから、撮影が終わったあと、家に戻って、パソコンを修復する暇はない。だいたい、修復できるかもわからないのだ。

 それに、友人の家のパソコンは、ぼくのパソコンより、ずっとパワフルなのだ。彼のも自作パソコンなんだけど(じつは、仲間うちで、なにげにパソコンの自作が流行っていたりする(苦笑))、友人のマシンは、AthlonというCPUの種類までは一緒なんだけど、スピードが違う。ぼくのは800MHz。友人のは1800+。これは、1800MHz相当のスピードが出るとされているCPUだ。(実クロックはもっと低いのだけど)

 なんかこのエッセイ、ぼくの実生活を暴露してるような趣になってきたな(苦笑)。とにかく、友人の家で、写真の加工と、納品データの作成までさせてもらって、しかもちゃっかり、晩御飯までご馳走になって(苦笑)、自宅に戻ったのは、終電の一本前の電車だった。また午前様だよ〜

 さすがにきつい。いくら働き盛りとはいえ、こう連日ハードワークが続くと、タウリンでも飲まなきゃやってられんな。といいつつ、コーヒーをいれて、カフェインを摂取してから、またパソコンを立ち上げる。正直言って、もう見たくないね、パソコンなんて。

 やっぱりモノクロざんす。すてきねえ。モノクローム。格調高いわ。うっとり。

 オカマのマネをしててもしょうがないけど、このときの日時は、2003年4月11日(金)00:47:32なのが、B1掲示板の、ぼく自身の書き込みによって記録されている。「No.4917 【気が狂いそう……】」というスレッドだ。さらにこのとき、ぼくは、一つのことに気づいていた。終了オプションで、「スタンバイ」を選んで、いったん、パソコンをスタンバイモードにしてから復帰させると、なんとモノクロがカラーに戻るのだ。やはり、終了オプションの、「徐々にモノクロに変わる」演出(機能?)が、なにか悪さしているような気がする。となると、グラフィックカードだろうか?

 マジで頭がおかしくなりそうだよ。なにをどう疑ったらいいんだ? それすらも、よくわからない。もしかして、モノクロの画面から、なにが怪電波が出てるんじゃないか?

 ビビビビビ……おまえは、もう一本、WindowsXPを買いたくなる。ついでに、Plus ! for WindowsXPも買いたくなる。買いたくなる。買いたくなる……

 ハッ! ビル・ゲイツの陰謀か!

 われに返ったぼくは(笑)、WindowsXPの修復機能を使ってみようと思った。けど、なんだか修復ポイントというのがよく分からないので、WindowsXPのCDを入れてみる。すると、修復セットアップというのが出てきた(たぶんそんな名前だったと思う)。これで、もう一度インストールだ。ほぼ、通常のインストールと同じくらいの時間がかかって、やっと起動したWindowsは……モノクロです。

 もう、イヤだ。疲れた。やはりB1掲示板の、ぼく自身の発言によって、このときの時間が、夜中の二時五十六分であることが記録されている。さすがに眠い。コーヒーを飲んだくらいでは目が覚めない。寝ます。お休みなさい。

 こうして、モノクロ画面のまま、二晩が過ぎていった。

 その日は、久しぶりにゆっくり寝た。前に、七時間も眠ったのは、いつのころだったろう。それはともかく、掲示板にレスを書いてから、納品に出かけた。このときぼくは、心に期するものがあった。もう原因は、グラフィックカードしか考えられない。やはり、古いカードではダメなのだ。新しいのを買おう。

 今回は、秋葉原ではなく、新宿のヨドバシカメラに行ってみました。クライアントの事務所から近かったからね。睡眠をたっぷりとったぼくは、ヨドバシカメラの、自作パソコンのパーツ売り場を、じっくり見る余裕があった。

 いろいろありますなあ。静音グッズ。あ、ちなみに「静音」は「せいおん」ですからね。間違っても「しずね」と読んではいけませんよ。「しずねグッズ」って読まれたら、とっても変態チックで、ぼくの人格が疑われます。キャーッ、TERUさんたら、どんなお店に出入りしてるの? ぐへへ。しずねちゃんを、あーして、こーして、こんなふうにしちゃう道具が売ってるお店なのだ。どんな店だよ(苦笑)。

 あ、でも。いまふと思った。自分で組み立てるパソコンで「ベアボーンキット」というのがあるじゃないですか。マザーボードとか、最初から組み込まれていて、素人でも、比較的容易に組み立てられる、半完成品というようなヤツが。その手の製品で、浴衣か着物を着た美人を、パッケージにデザインして、「しずね」という名前で売ったら、売れると思いませんか? もちろんウリは、「静かなパソコン」です。オレさあ、この間、しずねちゃん買っちゃったよ。そんで、Athlonの2400+ぶち込んでやったぜ。なんて会話が秋葉原で繰り広げられて、あの街の変態チック濃度も、ますます濃くなってナイスですね。あまり、行きたくない街です(苦笑)。

 えー、静音ネタで、エッセイを引っ張っておりますが(笑)、先を続けましょう。グラフィックカードを選ぶにあたり、お値段はもちろんですが、それ以上にファンレスがぼくにとって重要でした。「ファンレス」とは、グラフィックカードに、ファンがついていない製品のことです。いまやグラフィックカードも高性能化の道をひた走り、とっても熱くなるのです。ファンで冷却しなければなりません。もちろん、パソコンで3Dゲームをバリバリやりたい人は、そういう高性能カードが必要でしょう。でもぼくは、パソコンでゲームをやらない。ふつうの性能があればいいのです。ただでさえ、「しずねちゃん」じゃないぼくのパソコンに、これ以上、騒音の原因になる扇風機を増やしてたまるか。

 ところでグラフィックカードの世界では、nVIDIAという会社が有名です。これもなんと読むのでしょうね。「えぬびであ」ですか? まあ読み方なんかどうでもいいけど、この会社の製品は、ゲームユーザーに人気がありつつ、ドライバーソフトが安定しているという評判です。すばらしい。nVIDIAを買おう。安定してるのが一番だ。でも、モノクロの画面になる、いまのグラフィックカードもnVIDIA製なのだな……まあ、いいか。

 ぼくがチョイスしたのは、「GeForce4 MX440 SE」というnVIDIA製のチップが搭載されたカードです。これはヒートシンクだけで冷却するタイプなのはもちろんのこと、値段がお安い。ヨドバシ価格で、4,980円でした。これに10%のポイントがつくわけだ。採用しているメモリが高速ではないらしいけど、ゲームをやらなきゃ問題ないでしょ。いま使ってるのより、三世代か四世代くらい新しいんだから。

 でもね。そのカードを売ってる会社が、ちょっと心配。「玄人志向」って名前の会社なんですよ。nVIDIAは、チップを作っている会社で、小売りはありません。部品屋さんですね。ユーザーが使う最終製品は、べつの、いろいろな会社が、nVIDIAから部品を買って作っているのです。

 で、「玄人志向」という会社の製品は(玄人志向は販売会社であって、製造元はさらに違う)、バルク製品扱いになるそうです。だから、初期不良を交換する以外の製品サポートはいっさいないんだとか。まあ、だから安いらしいですけど。ヨドバシカメラのレジで、レジのお兄さんに、そのことを、念を押されつつ購入してきました。

 こうして、家に帰り着いたぼくは、グラフィックカードの交換の前に、ここ数日間で受信した、メールのデータをバックアップしておくことにしました。カードの交換で、さらに調子が悪くなったら、目も当てられませんからね。

 ついでに、ネットにつなげて、掲示板も見ておこう。なにがカキコがあったら、いまのうちにレスを書いておいた方がいい。

 すると……わがScript1の掲示板から後光が差したのです!

「TERUや」
 キラキラと輝く後光に照らされながら、女神様が言いました。
「おぬし、フォトショ入れるときに既定のカラーリングローダーをAdobeガンマにしてないかえ? コレと相性が悪いXPのビデオドライバファイルがたまにあるのですよ。スタートアップフォルダからAdobe Gamma Loaderを抜いて、ビデオドライバを再度更新、色設定を確認してごらんなさい」
 キラキラキラ……女神様は消えていきました。

 ハッ。いまのはなんだったんだ。幻覚か? 幻聴か? なんだか、背が高くて、どこかのパソコンスクールの先生みたいな女神様だったな。まあいい。とにかくやってみよう。

 すると……

 な、直ったよ。もう、何事もなく。あっけなく。女神様、ありがとーう!

 以上のことは、ぼくの幻覚でも幻聴でもありません。いや、多少の(かなり?)脚色はありますが(笑)、掲示板に☆Hit !! Me !!☆さんが、対策を書き込んでくださっていたのです。それが、バッチリ正解でした。さすがは、パソコンスクールのセンセだわ。

 心の隅に、WindowsXPのインストールそのものがキチンとできていないのではないかという不安があったのですが、原因がキッチリわかって、その不安も取り除かれました。

 っていうか……いままでNum Lockキーの問題もあったのですが、いつの間にかそれも直ってる。なんでだ? 昨晩、WindowsXPの修復セットアップをしたからかな。そうかもしれない。なんにしてもラッキー。

 ところで、PhotoShopのAdobeガンマというのは、モニタの色を管理するアプリケーションのことです。これを使って、少しでも正確な色をモニタに出しましょうってわけですね。その色管理ソフトが、画面をモノクロにしてどーするって気もするけど(苦笑)。

 よし。原因がわかったところで、いよいよ新しいカードに交換しましょう。こちらは、現行製品だから、nVIDIAの最新ドライバを入れれば、問題ないでしょう。前のカードでも、nVIDIA製のドライバを入れれば直るような気がするけど、さすがにそれを試す気にはなれないね(苦笑)。

 まずは、nVIDIAのホームページに行って、最新ドライバを入手します。ダウンロードページは……英語だよ。やだなあもう。どれをダウンロードするんだ? このインターナショナル版か? たぶんそうだろ。こいつをダウンロードして、解凍しておきます。なんだかお料理番組みたいだね。

 ここまで準備が整ったら、いままでのグラフィックドライバーを削除。そして、またまた、パソコンを開けて、カードを抜いて、新しいカードを差して、スイッチオン。WindowsXPが、勝手に自前のドライバを組み込んじゃうので、ふたたびそれを削除して、nVIDIAのドライバーを組み込みます。そして再起動。

 うまくいくかな……一瞬、画面が乱れたりして、ドキドキさせられますが、無事にWindowsが立ち上がりました。

 よかったァ。おっと。まだ喜ぶのは早い。Adobeガンマは動くだろうか? Adobeガンマローダーをスタートアップに入れて、再起動。

 ドキドキドキ……

 じゃーん! 結果を発表しましょう。すべて、何事もなく直りました! やったーっ。長く苦しい迷宮から、やっと抜け出したぞ! 言うことが大げさだね、ぼくも。でも気分は、まさにそんな感じ。いやはや、お騒がせをしました。お母さん。ぼくは大丈夫です。東京で元気に暮らしています。なんちゃって。

 実際には、それからさらに、Adobeガンマで色を調節し直して(本当は、Adobeガンマでは、完全なキャリブレーションはできないんだけどね。と、一応、詳しい人のために書いておきます)、作業がストップしていた、インストールの残りを片づけてと、まだまだ、やることは山ほどあったのですが。(しかもまだ、辞書ソフトとか入れてないので、完ぺきではない)

 ともかく。このじゃじゃ馬は、なんとかレディの振る舞いを身につけました。ぼくは機械に名前をつけたことはないけど、今回は自作パソコンと言うこともあるので、特別に名前をつけることにしましょう。みなさん、シェイクスピアの、「じゃじゃ馬馴らし」をお読みになったことはありますか? じゃじゃ馬だったカタリーナが、とーっても、すてきな奥さんになって、みんながビックリするお話です。Script1は創作小説サイトですから、格調高く、このシェイクスピアの作品から、名前を拝借することにしましょう。

 そう。わがパソコンの名は「カタリーナ」に決定します! ぼくを散々困らせたけど、これからすてきなパソコンになってくれるといいなあ。という願いを込めて……

 あ、そうそう。ふだんはカタリーナの愛称である、ケイトと呼んでくださいな。って妙に細かいな。なんか変態チックだわ(笑)。


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