チリビーンズふたたび
ぼくはウエンディーズのチリビーンズが好きだ。いや、好きだった。残念ながらウエンディーズは2009年の末日を以て、日本から消えてしまった。そこで、自分で作ろうと思い立ったのだが……
というエッセイを2010年の1月17日に書いた。「その赤っぽいものはなんだ?」と題したそれを読んでいただいた方は、ぼくの果敢な挑戦が失敗に終わったことを思い出していただけるだろう。
が!
ふたたびチリビーンズに挑戦するチャンスが巡ってきたのだ。なんと、チリビーンズにまったく興味をお示しにならず、ぜんぜん作ってくれようとしない彼女さまが、友人と出かけた外国食材の豊富なスーパーで買ってきたのだ。
チリビーンズの材料を?
ちがーう! チリビーンズそのものをだ!
ジャ、ジャーン! これがそうだ!
なんだ缶詰かよ……と思ったあなた。それは大きな間違い、ビックなミステークだ。って、なんかルー語ですか?
だって考えてみたまえ、シンキング。チリビーンズが食べたくなったら、いちいち作らなきゃいけないなんて、面倒じゃないか。それが缶詰で食えるなら、そりゃもうドラえもんの四次元ポケットみたいなもんで、あーら簡単、便利ね奥さん。って感じで、好きなときに食べられるじゃないか。
だからぼくは、彼女さまに感謝しつつ、厳かに宣言した。
それを温めてくれまたえ、と。
で、温まったものがこれだ!
……(思考停止)
……(思考停止中)
……(まだ思考停止中)
あ……(覚醒)
えーと……(だんだん回復)
あのですね……(やっと復活)
ウエンディーズのチリビーンズをご存じない方には、よくおわかりにならないかもしれませんが、これはその、ぜんぜん、まったく、これっぽっちも、ウエンディーズのチリビーンズではありません!
まったく別物じゃないかーっ!
と、彼女さまに怒ってちゃぶ台をひっくり返す……わけもなく、あの、ぜんぜん違うんですけどォ〜と、恐る恐る申し上げてみたら、挽肉が入ってないからでしょと簡単におっしゃって、彼女さまは冷蔵庫の冷凍室で凍らせてあった合い挽き肉をさっと炒めはじめた。そして、ぼくがその調理風景を写真に撮る間もなく、ジャッとフライパンの中で缶詰のチリビーンズと混ぜ混ぜしてできあがったのがこれだ!
お?
ん?
むむ?
なんか、ちゃいと似てきたぞ。まだ違うけど、雰囲気はある。さっそく食べてみると……
なんかねー、やっぱ別物。なんだけど、これをベースにしていけば、なんとかなりそうな気がしないでもない味のような気がするような感じ……って、すごい日本語だな(苦笑)。
ともかく。その日の昼は、この、ちょっとウェンディーズのチリビーンズに似てるけど、でも別物の缶詰チリビーンズ with 彼女さま謹製、炒めただけの合い挽き肉をいただいたのだった。
が!
話はこれだけでは終わらないのだ。とある夜中。と言ってもついさっき(2010年4月17日の0時15分ごろ)のことなんだが、冷たい雨(みぞれ交じり!)が降る中、ぼくは書斎のヒーターをガンガンに付けて(だって寒いの嫌いなんだもん!)原稿を執筆していた。ご安心召されよ。『Blind
Chord』のアプリ用テキストはすべて書き終えて、いまはふたたび『召しませMoney!3』の執筆にいそしんでおりまする〜。
で、そこそこ快調に書き進んでいたのだが、ふとキーボードを叩く手が止まった。お腹が減っちゃったのだ。時計を見れば、日付が変わって、すでに十五分を過ぎていた。夜中までやっているスーパーはまだ開いてるな。なにか買いに行くか。と思ったところで、よせばいいのに、ぼくの脳みそには、チリビーンズの絵がパッと浮かんだ。
あーあ。これでもう今夜は、原稿どころの騒ぎじゃない。ふたたびチリビーンズに挑戦することが決まった。となれば善は急げ(善でもないが)黒い革のハーフコートに袖を通して車に乗り込み、スーパーへレッツゴーしたのだが……
ギャーッ! ま、また、合い挽き肉が売り切れだーっ!
でも、腹は減ってる。しかも、チリビーンズを思い描いていたせいか、気分は肉食獣。肉が食いたい。パスタとかラーメンとか、そんな炭水化物じゃ、ぜんぜんダメなフィーリング。
これはたぶんチリビーンズを思い描いていたせいだけじゃない。二日ほど前まで風邪引いて、ちょいと調子が悪かったせいだ。ぼくは身体が回復しようとしているとき、なぜか無性に、肉が食べたくなる。それも、むしゃむしゃ、もりもり食べたいのだ。分厚いステーキを!
そこでステーキ用の肉を買って来ました! しかも2枚も!
やーん。美味しそうじゃなーい。和牛よ。オーストラリアでもアメリカ産でもないのよ。それが、今がお買い得(というシールが貼ってある)で、780円なのよ。でも2枚買ったから、1,560円よ。夜中に食べる量でも値段でもないわね。レジでお金を払うとき、自分の愚かな(お財布にもお腹の脂肪に対しても)行為に、後悔の念がザブーンと津波のように押し寄せたけどもう遅い。クスン。
ネットオカマのマネも疲れるので、ふつうに戻りますが、えーと、マックの袋が置いてあるのは、肉と言えばフライドポテトでしょと、夜中に思ってはいけないことを思ってしまったので、こちらは24時間営業のドライブスルーによって買って来ました。これまた後悔の念が……以下同文。
では、お料理開始〜
といっても、やることはたいしたことじゃない。ステーキについてた「ステーキスパイス」をふりかける。
こんな感じに。で、あとは焼く。
フライパンに乗せたところ。ジューと音がしてますが、音も匂いも写真には写りません。そのうち写るようになるかもしれないけど(あと何十年かしたら)。
焼けてきました〜。
お皿に、フライドポテトを用意しときましょう。
あ、そうだ。目玉焼きも付けちゃおうか!
お肉が焼けたので、ドーンとお皿に盛って……
目玉焼きをのせて完成! 簡単ね! いただきまーす。アメリカ人かおまえは! という絵図らですが、おいしいでーす! やっぱり肉はステーキに限るわ。いやホントに。これでワインかビールがあれば、もう、なーんにもいらない。
で、わたしは、なにをやろうとしてたんでしたっけ?
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