その夜。圭介は、麻里とニューヨークの五番街を歩いていた。まだ雪の降る季節には少し早いが、夜ともなると、たいぶ冷え込む。もっとも、冷たいのは気温だけだ。マンハッタンは眠らない。いつも人々の熱気に満ちている。
まいったなァ……
圭介は、楽しそうに腕を組んで歩く麻里をちらっと見ながら思った。あんなこと言うんじゃなかったと。
ことの発端は一週間前だ。ワシントンのスミソニアン博物館にある、ハリー・ウィンストン・ギャラリーから、彼らはある物を盗んだ。そう。ホープという名の、世にも美しいブルーダイアモンドを。
このブルーダイアモンドは、呪いのダイアとも呼ばれていた。その、あまりの美しさに人々の心を狂わせるのだ。しかし、その呪いは、最後の所有者から、スミソニアン博物館に寄贈されて納まった。はずだった……
「ねえ圭介」
麻里が言う。
「早く雪が降らないかしらね」
「雪? なんで?」
「だって、きれいじゃない」
「都会の雪はきれいじゃないよ。道は汚れるし、交通は麻痺するし」
「もう、ロマンチックじゃないわね。だいたい、さっきから、なんで浮かない顔してるのよ。世界中探したって、滅多にお目にかかれない美人とデートしてるんだから、そんな顔しないでよね」
「なあ麻里」
圭介は、浮かない顔のまま言った。
「きみが世界中探してもお目にかかれない美人なのは、命の危険を感じるから否定しないけど、ぼくが浮かない顔をしている理由はわかってるはずだよ。本当に行くのか? ぼくはなんだか、矛盾を感じるんだけどな」
「一言多いわね。まあ、いまの発言は、今夜ベッドで後悔させてあげるからいいとして、罪ほろぼしがしたいって言い出したのは圭介の方なんだからね。覚悟してちょうだい」
「罪ほろぼしなんて言ってない。一言もね。ただ、悪いことしたなって言っただけだ。なにか盗むたびに罪ほろぼししてたら、ぼくは破産だ」
「破産したら、建築現場で働けばいいのよ。あたし、毎朝お弁当作ってあげるね」
「そりゃ名案だな」
圭介は苦笑いを浮かべた。
「もっとも、麻里の作ったお弁当が、人間の食べられるものであればの話だけど」
「失礼ね。あたしだって料理ぐらいできるわよ」
「またまたァ。嘘つきは泥棒の始まりって言う…… ははあ、なるほど。とっくのむかしに始まってますね、確かに」
「なに、自己完結してんのよ。それより、着いたわよ」
麻里が言う通り、圭介たちは目的地に到着した。そこは、世界に名だたる超高級宝石店、ハリー・ウィンストンだった。この店が、いかに有名かは、マリリン・モンローが、「紳士は金髪がお好き」という映画の中で、『ねえ、ハリー・ウィンストン、ダイヤモンドのことを、何でもいいから教えて……』と歌っていたほどだ。まさに、キング・オブ・ダイヤモンド。世界中の王室や実業家、あるいはハリウッドスターたちが、ウィンストンならではの大粒で極上の宝石を求めにやってくる。
じつは。
ルイ十四世やマリー・アントワネットをはじめ、歴史上、有名な人々の手から手へわたり、持ち主に不吉な人生を辿らせた、あのブルーダイアモンド、「ホープ」の数奇な運命に幕を降ろしたのが、このハリー・ウィンストンなのだ。ウィンストン社は、呪われたダイアを買い取り、一九五八年に、スミソニアン博物館に寄贈した。もっともそれは、いま圭介と麻里の屋敷にあるのだが……
つまり、今日の圭介と麻里のデートの目的は、ブルーダイアモンドを盗ませてもらった罪ほろぼしに、それを寄贈した、ハリー・ウィンストンでお買い物をすることだった。麻里に言わせると、ギブ&テークなんだそうだ。
だが、もちろん、麻里に『罪ほろぼし』なんて感情があるはずはない。圭介が、あれほど有名なダイアを、あんなに簡単に盗んじゃって、悪いことしたなァ。と、ぼそっと言ったのを聞いた麻里が、彼女特有のワガママという名の解釈で、この『罪ほろぼし』を思いついたというわけ。
「さあ、圭介。罪ほろぼししましょ」
ニッコリと言う麻里。
「ステキな宝石をたくさん買ってあげなきゃね」
「それを身につけるのは誰?」
と、わかり切ったことを聞く圭介。
「やあねえ。あたしに決まってるじゃない」
やはり、ニッコリ答える麻里。
「どこが罪ほろぼしなんだか……」
圭介は、やれやれと首を振った。
「そうか。わかったぞ。これは、あのダイアモンドの呪いだ。そうに違いない。いや待て。麻里のワガママなんて、あのダイアを盗む前からだよな。ということは、ダイアは関係ないか。じゃあ、ぼくはいつから、なにに呪われているんだろう?」
「圭介。なにブツブツ言ってるのよ。早く来て」
麻里はすでに、ハリー・ウィンストンのドアを開けているのだった。もちろん、圭介の独り言なんか、聞いちゃいない。
やっぱり、呪われているよな。圭介は苦笑いを浮かべて、麻里に続いて店の中に入った。
普通の人が宝石店と聞くと、ショーウィンドウや、きらびやかなショーケースが置かれた店内を想像するはずだ。だが、この店は違う。ショーウィンドウどころか、ショーケースさえない。豪華なヨーロピアン調のラウンジがあるだけ。
「いらっしゃいませ、麻里さま」
圭介たちが店の中に入ると、すぐに品のいい中年の男性が近づいてきた。
「あら。ジェフ」
麻里が気楽な声で言った。
「なによ。今日は店長直々のお出迎えなわけ?」
麻里は、もともと、この店のグッド・カスタマーだ。しかし、さすがの彼女も、店長自ら出迎えられることは滅多にない。
「はい」
ジェフと呼ばれた、ハリー・ウィンストンの店長は、麻里に軽く会釈しながら答える。
「今夜は、落合さまとご一緒にいらっしゃるとお聞きしていたものですから、ぜひお会いしたいと思いまして、お待ち申し上げておりました」
ハリー・ウィンストンは、完全予約制なのだ。事前に、どんな宝石が欲しいかを予算と共に知らせておかなければならない。
「あら。そう言えば、圭介と一緒に来るのは初めてだったわね。紹介するわ、ジェフ。あたしのフィアンセの落合圭介よ」
「初めまして、落合さま」
ジェフは、圭介に右手を差し出す。
「わたくしは、当店の責任者を任せられております、ジェフリー・エヴァンスと申します。お会いできて光栄です」
「初めまして」
圭介は、ジェフと握手を交わした。
「こちらこそ、よろしく。と言うか、お手柔らかにかな?」
「ははは」
ジェフは、圭介のジョークに笑った。いかにハリー・ウィンストンが、超高級宝石店と言えど、この若き億万長者が本気になれば、店ごと買い取れるはずだ。しかし、圭介にはそういった放漫さがない。好ましい若者だと、ジェフは思った。
その圭介は、初っぱなのジョークが受けて、ホッとしていたのだが、その実、小切手を切る身としては、あまり高価な宝石を見せられても困るよな。と、思っていたのも事実だった。根が貧乏性なのだ。
「さあ、どうぞこちらへ」
ジェフは、圭介たちを接客用のサロンへ案内した。なにもかもがリッチな作りの店だが、圭介たちが通されたのは、その中でもとくに、重要なお客だけが通されるサロンだ。それはまあ当然だろう。麻里は、ハリウッドスターのような、いわゆるセレブリティ(有名人)ではないが、社交界では抜群の知名度を持っている。さらに圭介は、アメリカ大統領の経済政策に影響力を行使できるほどの大企業の最高経営責任者なのだ。最重要顧客として扱われて、なんの不思議もない。
圭介と麻里が、サロンのソファに落ち着くと、ジェフは、柔和な笑顔を浮かべながら切り出した。
「本日は、麻里さまのお好みを考えまして、ビブネックレスを中心に商品を揃えてみました」
「あら。いいわね」
と、麻里。
圭介はビブネックレスってなに? と聞きたかった。聞くは一時の恥。知らぬは一生の恥と言うではないか。だが、そんな基本的っぽいことを聞くと、恥をかくのは自分ではなく、むしろ麻里のような気がして、黙っていた。どちらにしても、その商品が運ばれてくれば、どんなものかわかるだろう。
「ただいま、レセプショニストが、商品を持ってまいりますので、しばらくお待ちください」
レセプショニスト(応接係)? そうか、普通は店長自ら、お客の応接はしないんだな。これは、高い買い物をさせられそうだ。と、ちょっと不安になる圭介。
待てよ。この店は、予約を入れるとき、予算も伝えておくシステムだったはずだ。麻里のヤツ、いったいいくらの宝石を用意させたんだ?
圭介は、よほど日本語で麻里に尋ねようかと思ったが、万が一、ジェフが日本語を理解できたらマズイと思ってやめた。商品が運ばれてくる前に、『いったい、いくら使わせる気なんだい?』なんて聞いたら、それこそ、麻里が恥をかくだろう。
ふう…… 億万長者も大変だ。と、心の中でタメ息をつく圭介。
すると、数人のレセプショニストが、トレイに乗せたネックレスを持って、サロンに入ってきた。ざっと、十種類ほどある。
ははあ、ビブネックレスって、こういうヤツか。圭介は、一人納得する。一本の輪ではなく、直径の違う複数の輪が連なったデザインのネックレスだ。単なるネックレスより豪華であり、当然、その分使われている宝石の数も多い。
レセプショニストたちが、持ってきたトレイを、ソファテーブルの上に置いた。
「まあ、きれい」
麻里の瞳が輝きを増す。
「ありがとうございます」
ジェフは、軽く頭を下げる。
「どれも、当店自慢の品ばかりでございます。麻里さまにご説明するまでもございませんが、すべて、わが社のウィンストニアン・スタイルで加工してございます」
これは聞いてもよさそうだ。圭介はそう判断して、ジェフに言った。
「ジェフ。無知でお恥ずかしいのですが、ウィンストニアン・スタイルとは、どういうものですか?」
「はい」
ジェフは、やはり穏やかなほほ笑みを崩さずに答える。
「わが社は、宝石そのものがジュエリーのデザインを決定すると考えております。そこで、大粒で極上の宝石を最大限生かすため、宝石を留める金具を極力見せないよう、ワイヤー・セッティングという技法を編み出しました。どうぞ、ご覧ください」
ジェフは、トレイの上のネックレスを指差す。
「このように、宝石と宝石を細いワイヤーでつなぎ、あたかも宝石だけで構成されているかのように見せる画期的なスタイルです。これは、わが社の創設者である、ハリー・ウィンストンが、クリスマスのときに、扉に飾られたヒイラギのクリスマス・リースを見て、考えついたと言われております」
「ああ、なるほど」
圭介はうなずいた。確かにクリスマスのときに、ドアに飾るヒイラギの葉のわっかに似ている。
「このように」
と、ジェフが続ける。
「宝石をより美しく生かしたいというハリーの熱意と、わが社のクラフトマンの卓越した技法が結実して『ウィンストニアン・スタイル』が完成したのです」
彼の声には、世界最高の宝石店であるという自信とプライドがにじんでいた。
「大変すばらしいですね」
と、圭介。
「こちらのお店が、世界中のセレブリティから愛される理由が、とてもよく理解できましたよ」
「お誉めいただいて光栄です」
ジェフは、満足げに頭を下げた。
「ちょっと、圭介」
麻里が、圭介の腕を抱いてきた。
「なに、難しい話をしてるのよ。そんなことより、どれがいいと思う? ちゃんと見てくれなきゃ、あたし全部欲しいって言い出すわよ」
「うわ。それは大変だ。真剣に選ぼう」
圭介がおどけて言うと、ジェフは、声を出して笑った。
「ははは。どうぞ、ご遠慮はいりません。全部お買い上げいただいてもいいのですよ」
「勘弁してくださいよ」
圭介はジェフに苦笑を浮かべてから、麻里に言う。
「麻里。このピンクダイアのヤツなんかどうだい?」
「あら。あたしも、それがステキだなって思ってたの。でも、似合うかしら?」
「麻里なら、たとえガラス玉でも…… いや、なにもつけなくたって美しいよ」
「ふだんなら、ステキな誉め言葉だけど、ハリー・ウィンストンに来てるときに言う言葉じゃないわね」
「あはは。確かに。ジェフ。これは試着…… という言葉が適切かどうかわからないけど、いまこの場で、つけてみることはできるのですか?」
「もちろんですとも」
ジェフはそう答えて、近くに待機しているレセプショニストの一人に目くばせする。
その店員…… ではない。レセプショニストは、機敏な、それでいてゆったりとした、明らかに訓練された動作で、ネックレスを持ち上げると、麻里の首につけてくれた。
麻里は、レセプショニストが持つ鏡で、自分で自分の姿を確認する前に、圭介の方を向く。
「どうかしら?」
「これは困った」
と、圭介。
「そのネックレスに似合うドレスを、佐藤さんにデザインしてもらいたくなってきたよ」
圭介は、チャネルという高級アパレルメーカーの経営者でもある。佐藤はそこの専属デザイナーだ。
しかし、いくら自分の会社のデザイナーとはいえ、いまや、佐藤は世界的なデザイナーだ。自分のフィアンセが身につけるネックレスを、より素晴らしく見せるために、新しいドレスのデザインを考えさせるなんて、まさに究極の贅沢と言える。おそらく、有名女優なら、そういうことも可能だろうが、しかし、そう簡単に味わえる贅沢ではないはずだ。
「まあ、ステキ!」
麻里は、飛び切りの笑顔を浮かべると、圭介に抱きつこうとした。だが、さすがにそれは思いとどまった。目の前にジェフがいるのだ。いくらなんでもはしたない。麻里にだって常識はあるのだ。その代わり、はやる気持ちを押さえて、自分でも鏡を見た。
「うわぁ、いいわね。これ気に入ったわ。淡い色のドレスが似合いそう」
「そうだね」
圭介も、だんだん楽しくなってきた。愛するフィアンセのうれしそうな顔を見るのは、男として幸せな気分だ。
「色と言えば、この間、佐藤さんに作ってもらった真っ赤なドレスがあったね。あれには、無色透明なダイアの方が似合うな」
「ええ。この大粒のダイアを使ったネックレスがいいわ…… って圭介。なにを言い出すのよ。両方欲しくなっちゃうじゃない」
「いいよ」
「へっ?」
「ここんとこ、仕事が忙しくて、デートも週に一回だけだったからね。ここには『罪ほろぼし』に来たんだし、両方買って上げるよ」
罪ほろぼしの意味が違うが、圭介の心に嘘はなかった。
「いやーん! 圭介ったら!」
麻里は、もうたまらなくなって、けっきょく圭介に抱きついてしまった。
「圭介が破産したら、あたし、いっぱいいっぱい勉強して、美味しいお弁当を毎日作ってあげるわ!」
「こら、どういう喜び方だよ」
圭介は、麻里の胸の感触を感じながら苦笑いを浮かべた。
その気になれば、麻里はここにあるジュエリーを、すべて盗み出せるのに、圭介に買ってもらうという行為は、まったく次元が違うのだ。愛する人からのプレゼント。喜びの度合がまったく違う。それは、圭介にしても同じだった。愛する人へのプレゼントを、自分が努力して手にしたお金で買う喜び。
「お噂どおり、お二人は、大変に仲がよろしいのですな」
ジェフが、笑顔で言った。
「あっ……」
抱き合っていた、圭介と麻里は、一瞬、目を合わせてから、バツが悪そうに身体を離した。
「いやはや、失礼しました。つい……」
と、圭介。
「オホホ。あたしとしたことが、はしたないところをお見せしちゃって」
と、麻里も照れた笑いを浮かべた。
「とんでもございません。皮肉を申し上げたのではないのです。そのように喜んでいただいて、わたくしどもも、本当にうれしく思います」
それは、けっして営業トークではなかった。顧客に満足を与えること。それがジェフの仕事なのだ。店長という責任ある立場になってからは、つい、忘れがちになることなのだが、圭介と麻里を見ていて、そのことをしみじみと思い出したのだった。
「では」
圭介は、まじめな顔に戻って言う。
「支払いをしたいのですが、小切手かカードか、どちらがいいですかね?」
「どちらでも、落合さまの便利な方でけっこうです」
「じゃあ、小切手で」
圭介は、小切手帳とモンブランの万年筆をスーツのうちポケットから取り出した。
「さて。緊張の一瞬ですが、金額はいくらと書けばいいのでしょうね?」
「さほど、緊張していただく金額でもないと思いますが、6千800万ドルになります」
なんですと?
圭介は、頭の中で計算した。今日のレートでは、1ドル120円だったから、ええと……
81億6千万円!
うわァ…… 緊張を通り越して冷や汗って感じなんですが。と、圭介は思ったが、もちろん、そんなことは言わなかったし、顔にも出さなかった。実際、彼の財力からすれば痛くも痒くもない金額だ。ただ、債務担当の、大滝の渋い顔を思い出すと、冷や汗とともに、後悔の念が流れ出るのも事実だったが。
圭介は、モンブランの万年筆のキャップを取ると、金額の欄に6千800万ドルと書き、そして自分のサインを入れた。
「どうぞ」
圭介は、その小切手をジェフに渡す。
「ありがとうございます。明日にでも、お屋敷の方へ届けさせていただきます」
「楽しみだわ」
と、麻里はうれしそうに言った。
その笑顔を見ると、後悔の念がすーっと消えてゆく圭介であった。81億6千万円分、また働けばいいさ。馬車馬みたいにね。と。
圭介と麻里は、ジェフたちの丁重な見送りを受けながら、店の外へ出た。
「寒い……」
麻里が圭介に腕を絡めてくる。
「ああ。一段と冷えてきたね」
と、圭介。
二人の吐く息は、すでに白い。
「でも、心は温かいわ。熱いぐらいよ。いまあたし、すっごく幸せ」
「よかった。麻里が喜んでくれて、罪ほろぼしをした甲斐があるってもんだよ」
「ごめんね。二つも買ってもらうつもりはなかったのよ」
「皮肉で言ったんじゃないよ」
圭介はニッコリと笑った。
「ありがと圭介。大好き」
麻里は、圭介の腕をギュッと抱いた。
そのとき。
「あっ」
麻里は、目の前を落ちていく白い粒に気がついた。
「雪? 雪だわ…… 圭介。雪が降ってきたわ」
「ホントだ」
圭介は、空を見上げた。白い雪がハラハラと舞い落ちてくる。
「ぼくは、非常に重要かつ、驚くべき事実に気がついたぞ」
「なに?」
「どうやら、麻里の願いは、神様も叶えたくなるようだね」
「うふふ」
麻里はニッコリと言う。
「だったらあたし、圭介とずっと幸せに暮らせますようにってお願いするわ」
「きっと叶うよ」
圭介は、麻里を引き寄せて、彼女の美しい唇にキスをした。
注)
この物語はフィクションです。実在の個人および団体と、なんら関係はありませんが、ハリー・ウィンストンという高級宝石店は実在します。このショートストーリーに、どこまで本当のことが書かれているのか、調べてみるのも一興かもしれませんね。
http://www.harry-winston.com/
上記が、ハリー・ウィンストンの公式サイトです。
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