Gift - illustration
河童
ショートストーリー
 バキッ!
「って、戦ってどーする!」
「だって、きみが一発って言ったんじゃないか」
「誤字だよ誤字。一杯って言ったの」
「なんだそうかい。それにしても、きみハイカラな服を着てるねえ。赤いシャツに茶色のベストかい?」
「きみに言われたくないよ。その『愛』って書いてあるランニング、どこで手に入れたんだい?」
「さあ、どこだったろうねえ?」
「まさか、『かっぱ』らったんじゃないだろうね?」
「うまいなあ。そう来たかね」
「苦労してるんだよ、これでも。まさか河童で来るとは思ってもいなかったからねえ。ネタが、なかなか思い浮かばないねえ」
「誰に話してるんだい?」
「いやまあ…… ははは。そんなことより、一杯やりにいこうよ」
「河童巻きでも食べながら飲みますかね」
「いいね。活版印刷」
「きみ、辞書調べて書いてるね?」
「そんな喝破されちゃ困るなあ」
「やっぱり、調べてるね」
「それは言わぬが河童よ」
「もう、意味不明だよ。じゃ、そろそろ失礼しようか」
「そうしよう」
 ポチャン。
 河童たちは沼に潜っていった。
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