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星野智子 第五夜
ショートストーリー
「どうしたの?」
 オレは、博之さんに聞いた。なんか、じっと黙ってオレを見てるから。
「ん…… いや。きれいだなと思って」
「やだ」
 オレは、クスッと笑った。
「おだてたって、なんにも出ないわよ」
「はは」
 博之さんは、笑った。
「おだててなんかいないよ。本当にそう思ったんだ」
「ホント? うれしいな」
「いまでも不思議だよ。なんで智子が、ぼくなんかを好きになってくれたのか」
「世の中には不思議なことってあるものなのよ」
「そうだね」
 あはは。オレの言ってる本当の意味はわかんないだろうな。わかってもらっても困るんだけど。
 でもね。オレも…… ううん。わたしも、だんだん自分が男だったときの記憶が薄れていってる気がする。身体だけじゃなく、心も女になっていく。きっと彼が、わたしを女にしてくれてるんだと思う。



 第五夜は、つい勢いで書いちゃったけど、こうして、改めてショート書いてると、つくづく、すごい話を書いたなあと、実感しました。わたくし(作者談)。
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