神宮寺珈琲店 其の壱
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神宮寺珈琲店。
それは東京は本所の下町にある、小さな喫茶店。
ある日、この店に、一人の老刑事が訪れた。彼は定年を一ヶ月後に控え、ある悩みを抱えていたのだ。
その悩みとは、若き後輩刑事のことだった。後輩刑事は未解決事件を抱えていた。被害者の家族のため、なんとか解決したいと奔走しているが、解決の糸口さえつかめない。それもそのはず。その事件は、人知では解決できないことを老刑事は知っていたのだ。
解決できるのは、神宮寺という男だけ。彼は陰陽師の末裔。その術を使わなければ、刑事の抱えている事件は解決できない。
だが神宮寺は、静かな生活を望んでいた。もう事件には関わり合いになりたくないと思っていたのだ。彼が陰陽道から離れるキッカケを作ったのは、五年前に起こった、ある事件だった……